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OL三国志演義【第二部】第二幕第四段つづき

~ 十条寺は罠に落ちるも、西の狼が現る ~

Sangosuki032

 「まあ、アッチの方は、結構マジメやん?」  そう切り替えしたのは雁田憲和だった。

 その驚愕の発言に、さすがの操猛美も一瞬口ごもってしまった。『悪い=カッコいい、マジメ=ダサイ』という、なんとも幼稚な世界観が、まさか社会人の宴席で語られるなどとは、切れ者陰謀家、操猛美にとっても想定外であったのだ。

 「俺らは、ワルかったからなあ!なあ、玄田ちゃん!」    やめて、、、お願い、、、ヤンキー武勇列伝、、、そんなダサすぎる過去をエグらんといて、、、玄田徳子はほとんどグロッキー状態。宴会前半までの舞い上がりぶりはどこふく風か。

 隣にいた男子何某が、大丈夫?飲みすぎ?とかける声にも上の空。

 「なあ、二年時の体育祭あったやん?あん時、俺ら、ブッチしようぜって言ってたやん、でも、西ネヤ(*)のヤンキーが俺らのクラスのコ、あのほら、浅香唯に似てた、、、」まくしたてる雁田憲和の言葉が耳の奥でこだましてる、、、  

*註 西寝屋川高校    

 酔いと極度の不快感で心身阻喪状態になった玄田徳子はグラスを握ったまま、固まったしまっている。そしてその口もとは、よく見ると僅かに微笑んでいる。

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OL三国志演義【第二部】第二幕第四段

~玄田徳子は不良自慢に辟易し、沿線噺に身構える~

Sangosuki031  見知らぬ男達に取り囲まれ、警戒心と不快感を滲ませる十条寺秘書室長。その様子に危機感を感じた操猛美は、十条寺室長に近寄り、こう耳打ちした。

 「この方々は、食品(課)の玄田さんの友人達です。今日は偶然同じ店で飲んでいたようで、折角ですからご一緒しようと玄田さんがお声がけしたようです」

 十条寺室長はけげんな顔をして操猛美の話を聞いていたが、その説明を一応は納得したようだ。そして手をあげて玄田徳子に声をかけた。呼ばれた玄田徳子は、ちょこっと会釈をして、やや不審げな顔をしながらグラスを持って席を立った。これに雁田憲和も続いた。
 

 「こちらの皆さんは、玄田さんの友達?」

 と、十条寺室長が玄田徳子に尋ねると、返答しようとする玄田徳子を遮り、操猛美が即座に答えた。

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ゲイ用語について【メイキング・オブ・OL三国志演義】

 ただいま『OL三国志演義』は第二部。いわゆる三国志演義に沿えば、漢王朝の腐敗と群雄の登場のあたりです。いわゆる反董卓連合軍、っていうトコロ。

 漢室の腐敗を描くためには宦官の存在を忘れてはいけませんが、その悪しき茶坊主どもの代表格が十常寺の一人、張譲。OL三国志演義では『十条寺譲(じゅうじょうじ・ゆずる)』という秘書室長として登場させています。

 宦官は去勢した人ですので、それにちなんで十条寺室長の設定は、ゲイ。ということでゲイ諸兄のことを調べる必要があって、馴染みのウィキさんにあたって、みると『ゲイ用語』なる楽しげなメニューにつきあたりました。そこで発見したものが以下の記述。

【アンティー子】
    大阪キタの堂山町にあるオールナイト喫茶の名称にちなみ、この店を利用しているゲイをアンティー子、この店に行くことをアンティー子するという。

うーーん、堂山にそんな喫茶店があったのか。深夜に行ってみたいアンティー。でもエライめに合うかもしれないアンティー。 アンティー子を想い、朝から気もそぞろ。OL三国志が俺の心に思わぬ波紋を広げよったわい!

 本編、ボチボチ書いてます。

第一部の物語はこちらです   【働く女性が群雄割拠】OL三国志演義第一部(校正版)

第二部も含めて連載はこちら → 【いよいよ暴君登場】OL三国志演義

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OL三国志演義【第二部】第二幕第三段つづき

~雁田憲和は旧交を温めるも、玄田徳子は意気消沈す~
Sangosuki030  
 座敷の障子が開くと夏木姉妹が入ってきた。その後ろについて、数人の見慣れない男たちが宴席に入ってくる。夏木姉妹は、早や男子達の調達に成功した模様 だ。

 

が、その男子達の雰囲気は、ライトなヤクザ風のルックスで、この席には、若干の違和感がある。男子達は、夏木姉妹に促され、十条寺室長の方に向かっ た。この宴会の代表格に挨拶をする意図だろう。

 その中に一人。「ちわーす」と大きな声を上げ、愛想をしていた男がいぶかしげに玄田徳子を見つめた。「私の顔に何かついてまして?」と玄田徳子がお上品キャラをパロってやろうとした時、その男は驚きの声を上げた。

 「あれ!玄田?、、玄田ちゃんやん!」

 玄田徳子は男の姿をまじまじと見た。縦じまのダブルのスーツに、ど派手なネクタイ。なんだか吉本新喜劇の衣装のようだ。小脇に抱えたルイ・ビィトンのセカンドバッグは、まるで小道具のよう。持ち主の雰囲気と相まってパチもん(*)の匂いがする。

 *パチモン 偽物を大阪ではこう呼ぶ。イエモンは九十年代に人気を博したロックバンド、イエローモンキーの略称。

 が、その顔には見覚えがある。人間というものは、どういう訳か、人の顔を忘れない。たとえ、時間と共にその形状が変化していようとも。

 「、、、え!カ・リ・タ、、、雁田クン!?ガンダーラぁ!?」

 さっきまで、大のご満悦であった玄田徳子の顔から、サッと血の気がひいた。

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OL三国志演義【第二部】第二幕第三段

~玄田徳子は有頂天となり、夏木姉妹は捜索に奔走す~

Sangosuki029  操猛美が空のグラスを握ると、正面にいた営業課長、猿渡紹一が酌をしようとビール瓶を掴んだ。操猛美はそれを片手で制して、手酌でビールをサッと注ぐと、一気にグラスを空けてしまった。

 そして、フーッと息をして、鋭い視線を猿渡課長に向けて吐き捨てた。

 「動き悪いなあ、あんたのとこの若手。どうすんの?首謀者サン」

 十条寺譲室長を囲む男子達の輪は、最盛期に比べれば、落ち着いたものになっていた。それでも4~5人の若手が十条寺室長を囲み、酌をしてはそのご高説に耳を傾けている。

 そして十条寺の巧みな勧めに乗って杯を重ね、したたか酔ってしまっている。アテンド側が自制心を欠きつつあるという頼りない状況に、猿渡課長は歯噛みした。自分の連れてきた連中がだらしない。

 見ろ、操猛美に嫌味を言われたではないか!一番言われたくない奴になのに。いつか仕返ししたる、、、

 今夜は任意の私的な宴席とはいえ、『新プロジェクト』のメンバーを中心とした慰労会の側面もある。『新プロジェクト』の重鎮、十条寺室長には楽しんでもらわなければならない。前後を失うほどに盛り上がってもらわなければ困る。困るのだ。

 とはいえ、現状を打破する妙策を持たない猿渡紹一は、子どものようにふてくされるだけだった。

 ところで、十条寺のような特殊な性癖の持ち主が、なぜ秘書室長にまで出世したのかということを語らねばならない。大小を問わず集団統制の要点は、

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OL三国志演義【第二部】第二幕第二段のつづき

~十条寺譲は微笑し、若者は戦慄す~

Sangosuki028_2  宴席の中央部にある主賓席に、男子社員が群れている。営業部の猿渡課長が連れてきたと思われる未だ童顔が抜けぬ若手連。彼らは酌をするために一人の紳士を囲んでいる。

 その男、痩身のスキンヘッドこそ秘書室長の十条寺譲。今夜の主賓であり、役職上も最上位に位置する十条寺室長。十条寺は、次々と現れては酌をする若手たちに少々驚いてみせながらも、自分の権勢を確認してほくそえんでいる。が、笑みが漏れるワケは、それだけではない。

 早やトレードマークとされる黒革のジャンパーを脱ぎり、引き締まった上半身を強調するタイトなシャツには、乳首が薄く透けている。ほとんど犯罪だ。い や、こんなに分かり易く自分の趣味を明示してくれるのは、あるいは親切なのかも知れない。この姿を見て、十条寺室長の嗜好を見誤る者はいないだろう。

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OL三国志演義【第二部】第二幕第二段

 ~関長子は宴に波乱を思い、操猛美は猿渡を冷笑する~

Sangosuki027  グラスが重なり高い音を響かせる。其処此処からざわめきがおこる。あ、じゃあ。お、乾杯。饗宴のプロローグ、熱狂に向かう静かなる儀式。拍手が鳴る。

 今宵の拍手はやや強めにしっかりと。内輪の飲み会じゃない、会社がらみなんだから。ちょっとだけちゃんとしとこ。酒飲みではない玄田徳子だが、宴会歴は決して短くない。学生時代から数えればもう十年に及ぶ。

 

アタシはもしかしたら、この宴会の始まりが一番好きなのかもしれへんなあ。玄田徳子は、付きだしの竹輪と切干だいこんの炒め煮に箸をつけながら、そんなことを思った。

 「お酒は飲めないけど、宴会の雰囲気は好きなんですぅ」と言う女子は少なくない。笑止。

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OL三国志演義【第二部】第二幕・第一段

 ~ 関長子はミナミの変貌を想い、謀議は夜に咲く 
 

Sangosuki026  食事を済ませた玄田徳子ら三姉妹と乾祐一は、地下鉄心斎橋駅へと向った。駅に着けば、難波で環状線に乗り換える張本翼とは分かれることになるだろう。

 乾さんはたしか京都方面やから、淀屋橋で京阪に乗り換えるんなぁ。帰途の車中、好感を抱く乾祐一と二人きりになることがどこか疎ましく感じられる玄田徳子であった。

 物憂い顔の玄田徳子。その斜め後ろで腕組みをして闊歩するは玄田が年上の義妹、関長子。黒く艶やかなストレートのロングが揺れ、ネオンを反射して輝く。完璧に画になる女。

 余談ながら女性が腕組みして歩く姿に、独特の色気と哀愁を感じている男子諸君は多いのではないか。このごろはもうサッパリだ、と嘆息を洩らしている女子諸君には、一度腕組みを試していただきたい。妙に駐車場が増えたな。 

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OL三国志演義【第二部】第一幕・第四段

 ~ 張本翼は勢い余って減量を誓う ~

Sangosuki025  玄田徳子は注文を取りにきた店員に、炊き込みご飯定食をオーダーした。そういえば学生時代、クラスに変な音楽聴いている男子がいた。分けの分からんプログレだかいう暗い音楽。

 友達の少ないその年上の同級生に、なんとく話をあわせていると趣味が合うと誤解されてしまった。その後、数ヶ月にわたり、彼のオリジナル編集カセットテープの攻撃に悩まされたということがあった。あの人、どこに就職しはったんやろ。

それはともかく、まったく!皆に分かる話してよ。そのポールなんとかいう人の音楽が原点に帰ったとかいうことが、そんなに嬉しいわけ?なんで?音楽なんて暇な時にラジオで聞いたらいいやん。カラオケ用に流行ってる歌を知ってたら十分やん。もう!

 玄田徳子は心の中で、不平をタラタラと垂れながらも、乾祐一が熱く語るマニアの話題に、なんとか笑顔を繕っていた。

 まずい。姉上が怒っておられる。

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OL三国志演義【第二部】第一幕・第三段

~ 玄田三姉妹は、うどん屋にて乾祐一と遭遇す ~

Sangosuki024  難関であった関長子の説得が案外と簡単に片付き、玄田徳子はホッとした。これで週末にコンパに繰り出せる。張本翼はさっきリアクションからすれば、異論はないだろう。

 「ねえ、ハリモト、服決まった?」

 安心感からか、にわかに空腹を覚えた玄田徳子は、張本翼に早く買う服を決めるように促した。

 

決めかねてた張本翼は、翼竜のイラストがプリントされたワンピースと、バイオレットのキャミソールを両手に持って、レジに小走りにむかっていった。玄田徳子の一言に背中を押されたようだ。それにしても翼竜柄、、、ハリモト、路線変更は無しなんやね。

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