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OL三国志演義【第二部】第二幕第四段

~玄田徳子は不良自慢に辟易し、沿線噺に身構える~

Sangosuki031  見知らぬ男達に取り囲まれ、警戒心と不快感を滲ませる十条寺秘書室長。その様子に危機感を感じた操猛美は、十条寺室長に近寄り、こう耳打ちした。

 「この方々は、食品(課)の玄田さんの友人達です。今日は偶然同じ店で飲んでいたようで、折角ですからご一緒しようと玄田さんがお声がけしたようです」

 十条寺室長はけげんな顔をして操猛美の話を聞いていたが、その説明を一応は納得したようだ。そして手をあげて玄田徳子に声をかけた。呼ばれた玄田徳子は、ちょこっと会釈をして、やや不審げな顔をしながらグラスを持って席を立った。これに雁田憲和も続いた。
 

 「こちらの皆さんは、玄田さんの友達?」

 と、十条寺室長が玄田徳子に尋ねると、返答しようとする玄田徳子を遮り、操猛美が即座に答えた。

 「なあ、友達なんやんなあ!玄田ちゃん!」

 「ちゃうで!玄田ちゃんの連れは、俺だけや。他のは俺の会社の人間やで」

 そう言ったのは雁田憲和だった。そして十条寺に酌を勧めながら挨拶をした。

 「お疲れッス!いつも玄田ちゃんがお世話になってます!自分は雁田憲和いいます。ちょっと金融関係の仕事してるんですわ」 

 いつもお世話にって、、もうやめてやぁ、なんかむっちゃ仲いいみたいやん!こんなヤンキーチックなサラリーマンと。

 「玄田ちゃんとは幼馴染。地元で小中高と一緒だったんですわ!」

 「あ、ども」と十条寺室長からの返杯受ける雁田憲和。操猛美はすっかり赤ら顔になってオールバックのダルマのような雁田憲和にイタズラな目を向けた。

 「へえ、地元?じゃあ雁田さんも寝屋川?京阪沿線?」

 出た!『沿線トーク』!この話に何度煮え湯を飲まされてきたことか!玄田徳子にはこれから展開される話の内容は、もうほとんどデ・ジャブゥだ。結局、北河内(*)はヤンキーや、って結論になんねん、いっつも。

 *註 北河内 主に大阪府北東部の枚方市、寝屋川市、守口市、門真市、交野市、大東市、四條畷市の7市。

 筆者曰く。『沿線トーク』の典型的パターンは、各々の通勤電車を語りながら、その沿線の娯楽施設や店舗、名物について情報交換が行われ、場合によっては、地域住民の気質にまで話題が及ぶ。因みに大阪府下の私鉄には阪急、阪神、京阪、近鉄、南海があり、それらの電鉄会社が概ね東西南北を住み分けている。ゆえに府下のそれぞれの地域性を電鉄会社と重ねて語られることが少なからずあるのだ。とまれ、今は噺を進めよう。 
 

 操猛美の意地悪い底意を読めないのか、雁田憲和は明るく答えた。

 「おう、俺も寝屋川。京阪沿線!そっちはどこなん?」

 「私?私は阪急宝塚線」 

 操猛美のつっけんどんとした返答の中にも誇らしさが滲んだ。玄田徳子は、望んで壷を踏んだ雁田憲和の不用意さに舌打ちをした。

 「なるほど、第一学区」

 十条寺室長が言った。才媛、操猛美にふさわしいと言わんばかりの発言に玄田徳子は身構えた。これからの話の展開は読めている。操との比較として話題は自分に向けられるだろう。そして結果として、自分ら第四学区の者が虚仮にされてしまうのだ。第四学区やってナワテ(*)とか、難しい高校もあるんやで!

 *註 四条畷高校。第四学区における高偏差値の進学校

 「第一学区ってエラいんですか?」

 座の中の一人が聞いた。「エラい」って頭の悪い聞きかた、、、反射的に蔑んだ表情を浮かべた操猛美であったが、すぐににこやかに答えた。

 「第一学区ってまあ、学力が一番って意味で『第一』なんやけどね、フフッ」

 待て!違う!それは操の誤解やわ!学区って便宜上の区分けに過ぎへんのとちゃうん?

 大阪の北から番号を振ったら、たまたま北摂が『第一』に当たっただけちゃうん?嗚呼、間違いなく、アタシがネタにされる展開になるワぁ、、、 

 十条寺室長を囲む一群の中で、調子よく怪気炎を上げている様子の操猛美。猿渡課長はその様子を眺めて歯噛みした。おい、操、自分が主役になっている場合ちゃうやろ。早く十条寺室長を、、、

 プロジェクトの中打ち上げと称した宴席に、陰謀を巡らせた猿渡課長であったが、事が守首尾よく運ばない状況に苛立ちを隠せないでいた。焦りからか、すっかりしなびた付け合せのサラダを、ひたすら貪る猿渡課長であった。

(次回につづく)

第一部の物語はこちらです   【働く女性が群雄割拠】OL三国志演義第一部(校正版)

第二部も含めて連載はこちら → 【いよいよ暴君登場】OL三国志演義

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