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天使の囀り6【ネタばれ御免の読書感想文】

Tenshi_2  しばらく間が空きましたが、【ネタばれ御免の読書感想文】、『天使の囁き』編は、今回の総括を以って終了とさせていただきます。『黒い家』にも触れながら、貴志作品の面白さについて簡単ではありますが、吟味をしてきました。その骨子をまとめますと、

【貴志先生の新刊です】↓

1 貴志作品のテーマは先天的なもの(脳、遺伝子、本能)と後天的なもの(意志、理性、教育)の相克である。つまり「変え難いもの」への諦念と抵抗の物語である。

2 貴志作品は俯瞰すると綺麗な「起承転結」の構造になっている。例えば40章あり物語なら、概ね10章づつに分けることができる。

3 貴志作品は要所要所で読者に問い掛ける。読者に考えさせる疑問の種を蒔き、作品の展開を想像させ、作品の世界に参加させる。

4 貴志作品では宗教、心理学、精神分析学等の人間の内面に関する学問と大脳生理学、遺伝子工学等の最新の科学、つまり対立するかのように思える二つの学問領域が一つのテーマで符牒する妙味がある。

5 貴志作品のサスペンス、犯人当てクイズは以外と安易なものである。貴志作品が問い掛けたいものは誰が真犯人なのかということではなく、【何が真犯人なのか*】ということであるで、犯人当ては超えやすいハードルとして設定されている。

 *何が真犯人であるのか。『天使の囁き』では、線虫への感染を広めたのは蜷川教授ですが、重要なことは、なぜ蜷川教授がそのようなことをしたのか、ということです。

6 貴志作品の男性主人公は、孤独で繊細なタイプである。この設定に男性読者は自分を投影し、女性読者は影のある人物に惹かれる。で、何故か私はハラが立つ。

7 貴志作品では、趣味領域、嗜好品の類に関するもの(車、コーヒー等等)についてのウンチクを手に入れることができる。これはデートに使えそうだとシメシメ感を与えてくれる。

8 貴志作品はグロテスクなシーンを盛り込み、恐怖、不快感を煽る手法で、読者の心を作品世界を刻印する。

9 貴志作品は、絶望的な現実を前に問題は何一つ解決しないながらも、それでも倫理、良心、正義を信じて生きて行こうと決意する青さが魅力である。私も含めて、本を読むヤツあ、この手の人間が多いンでしょう。

10 そして最後。貴志作品のヒロインは細身で清楚な年下タイプ。芯のしっかりした身持ちの硬い彼女をベットに誘うシーンは、貴志作品の華である。

 以上、10の要点にまとめた貴志作品の面白さです。もちろん至らないところだらけのものですが、私なりの貴志作品設計図です。設計図ができあがれば、あとは素材を換えて別のものを組み立てるだけ。プラモ、作ってみようかな?

【再掲!貴志先生のウンチク大全】
(第1章)
 ・日本のサル学が一人の偉大な学者(今西錦司か。※行者)に呪縛下あったため、世界中のサルを研究対象としてきたとの豪語とは裏腹に、ニホンザル、ゴリラ、チンパンジーの研究に偏っていたらしい

・インカの都市、マチュピチュの砦はどれもアマゾンの密林側に向かって築かれている。これは古代アマゾンに強大な文明が存在していたことを示す。 

(第2章)
 ・証券取引場における弱小証券会社の「場立ち」(立って激しいアクションで株の売り買いしている人)は有力証券会社の場立ちのサルまねをしている。

(第4章)
 ・マーガリンは本来液体であるところを固形にしている不自然な構造で、これはトランス脂肪と呼ばれるのだが、これの安全性が疑われており、ドイツではすでに販売禁止となっている等等です。

(第5章)エッチ画像をネットに配信する時にモザイクを加えるソフトは、専ら(もっぱら)モザイクを外す為に活用されている。

(第7章)呼吸回数を減らして脳を低酸素状態にすれば、意識を忘我の状態にすることが出来る。これは「悟り」などとは無関係なテクニック上のトランス状態で、多くの宗教がこのトランス状態を布教に利用している。

(第8章)鳥の翼には小鳥に多い「丸翼」「細翼」、海鳥のような「長翼」、鷲などの「広翼」の4種類あり、天使の翼は意外や鷲タイプの「広翼」である。

(第10章)日本で行われる遺体の解剖には司法解剖、行政解剖、病理解剖の3種類があり、それぞれに目的が異なっていて、連絡、連携はありものの「縦割り」的であることが想像される。

(第10章)動物学者の調査によると蛇が最もよく食べる餌は他の種類の蛇である。つまり蛇の天敵は他の種類の蛇である。

(第11章)天使などの有翼の神々というのは、新しい宗教が世界中で古代のスネークカルトを駆逐していった名残である。

(第11章)古代の日本もスネークカルトが存在し、その一例としては、しめ縄は、もともと交尾するために絡みあった二匹の蛇を象った(かたどった)ものである。

(第13章)A10神経は脳内を走る神経系の一つで、快楽神経、恍惚神経とも呼ばれ人間感情をつかさどる。この神経、特に側頭葉に電流を流すある試験では、被験者は快感から試験者に恋している気分になってしまったらしい。このテ、使えないものか?

(第13章)人体に感染したウィルスは、人にウィルスを拡散させる指令を出すと考えられる。梅毒に感染した者は性欲が増進し、性交を欲するようになる。風邪をひいたら、くしゃみをする等の他人にうつすという行動を指示する。

(第13章)陰嚢が肥大化する象皮病に西郷隆盛は苦しんでいた。

(第15章)機動戦士ガンダムにおける敵役、「黒い三連星」のルーツは囲碁の布石である。

(第17章)おしゃれなイタリア車、フィアット・パンダは、ジョルジエット・ジウジアーロという著名な産業デザイナーがデザインしたものである。この人はワーゲン・ゴルフもデザインしている。

(第17章)ミツバチの遺伝子には、蜂の体だけでなく六角形の巣の形に関する情報も書き込まれている。

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コメント

ネタバレ読めてよかったです♪ありがとうございました(*^^*)

投稿: isu | 2012/05/12 11:14

いえいえ。お役に立てましたでしょうか?行者の小説、OL三国志も是非ご一読を。

投稿: 行者 | 2012/05/23 01:34

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