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ホワイトバンド宣教師とその信者達【憶測の段】

bono1  ホワイトバンドなる運動が盛んに行われてるらしい、世界の著名人がアフリカの貧困対策にために立ち上がったというのだ。彼らは手首に白いバンドを巻き、貧困への理解と解決のための活動を呼びかけている。

 俳優やモデル、サッカー選手などが参加している、この運動の要旨は次のとおりである。(1)その場しのぎ的な寄付・援助では、問題の解決にならない(2)貧しい国々の借金帳消しを(3)貧困の根本な原因は不公平な貿易にある。

 「寄付だけでは、貧困のスピードに追いつけないのです。みんなの意向を集めて、政策を引き寄せなければ。」「富める国にはどんどんお金が集まる。貧しい国からはどんどんお金が出て行ってしまう。このような仕組みの現在の貿易の仕組みを根本から変えていきたい」の掛け声は、単なる善意の寄付をアテにするチャリティから次の次元に向かおうとする方向性が見える。

 が同時に、「政策、貿易の仕組み」を変えていく運動に、世界市場での商売を生業とするインターナショナルなタレント諸氏を起用している矛盾を抱えているようにも思える。植民地づくりと熱心な布教活動を同時に行った中世のキリスト教徒と彼らがダブって見えるというのは言いすぎか。

 それはさておき、現在の世界の飢餓人口は約8億人(国連食糧農業機関:FAO 1996年)であり、人類の13%が飢えの中で日々暮らしているということになる。10秒の間に3人の幼い命が失われているということで、特にアフリカ大陸における飢餓が深刻である。アフリカの飢餓の原因としては、旱魃などの自然現象もあるが、やはり内戦の影響は大きいようだ。

 アフリカの内戦は1960年代の宗主国からの独立と同時に始まったと見てよい。「コンゴ動乱」をはじめとするこれらの紛争の中で、近年のもので最も凄惨なものに、「ルワンダの内戦」を挙げることが出来る。この紛争は、伝統的な部族対立に植民地時代の二重支配が複合したため起きてしまったと考えられているが、ジェノサイドまでに発展したこの内戦からどのうような背景が見えてくるのだろうか。

 「十分に食料が行き渡っていない決して豊かではない地域に、何故か重火器だけは行き渡っている」という事実は、紛争の原因を部族対立等にだけに求めることができないということを示すものである。一体、誰が彼らに武器を供給しているのか。また、アフリカの紛争国は、しばしば希少な天然資源を有する国でもあるという事実もある。これらの諸事実から紛争の背景について、皆さんも一定の【憶測】をされることだろう。そして、その想像は真実から遠くはないものと思う。

 さて、チャリティに話を戻すが、大衆の「善意の表現」と言えば、関西人の私には阪神淡路の大震災を思い出されるのだが、障害者支援を行っているある女性から次のような体験談を聞いたことがある。

 彼女は西宮で障害を持った児童向けのボランティア活動を展開しているのだが、震災直後から彼女の拠点に関東方面より多くのボランティアが集まった。が、彼らの多くは、援助への熱意はあるものの具体的な方法を持たない「押しかけボランティア」だったらしい。交通が回復していない被災地に、持ってきた救援物資をどのような方法で運び、どのようにして分配するのか。残念ながら彼らはノーアイディアだった。

 結局彼らは神戸への救援物資を残して、西宮を去ったという。なんとも言んない話だが、それでも残された救援物資は、やはり神戸の人々に役立てられたのだろう。その意味で、このボランティアは、無いよりは有ってよかったのだと私は思う。目の前に具体的な救いを必要としている人々に、彼らが必要なものを手渡すことは決して悪いことではない。たとえ、その行為の背後にどのような感情、気分が存在していようとも。

 人は時として自分より貧しいもの、自分より弱いものに救いの手を差し伸べる。それがある種の呵責を誤魔化す自己欺瞞であったりすることは、皆さんも体験があると思う。が、同時に貧困問題の本質を考える時、たとえ多大なチャリティを施そうとも、決して気分が晴れるものではない。むしろ、自分の卑しさを思ばかりだろう。

 ホワイトバンドを巻く諸君らが、どのような気分でいるのかは個々人ごとに異なるものと思うが、自らの行為を省みる真摯さを欠いたなら、それは自己満足以上により悪質なものとして、ホワイトバンドが必要とされる状況を強化することになるだろう。巻いたホワイトバンドを解くために、本当は何をしなければならないのか、各々が自分の頭で考えなくてはならない。

 最後に、行者の思春期を支配した英国のロックバンド、ザ・スミスのフロントマン、スティーブン・モリッシーの言葉を引用してこの稿を終えたい。彼は、1980年代に英国のロック・ミュージシャン、ボブ・ゲルドフが組織した英国のスターミュージシャンによるチャリティ、”バンド・エイド”について次のように語り、”バンド・エイド”への協力を拒んだ

 「エチオピアの人達を救おうってのが主旨だったけど、一体誰に助けを求めてたんだ?Wigan(ランカシャー州の炭鉱の町) の13歳の女の子じゃないか!サッチャーや王室なんかは10秒あればエチオピアの問題を解決出来るんだ。なのに Band Aid はそれに敢えて言及しなかった。事もあろうに、無職の人々をほとんど狙い打ちしてるんだ。」

 (バンドエイドのチャリティレコード”Do They Know It's Christmas?” は、飢えたアフリカの人々を救うために、貧しいイギリスの子どもから金を集める所業である、の意) (了)

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コメント

 無意味(オナニー)な正義がまかりとおっってる今が楽しくもあり、また悲しくもあります。

投稿: セルジオ | 2005/08/04 23:41

セルジオさん>こんばんは。やはり独善的なものほどタチの悪いものはないと思います。オナニーそのものは好きなんですが。

投稿: 行者 | 2005/08/05 01:13

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